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偶然に見つけたEric Kazの28年ぶりのソロCD

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i Podを手に入れた。
なにをいまさら!?と言われても仕方がないけど、なぜか今まで必要としていなかったのだ。
音楽はMDで聴いていたし、インタビューもMDが便利(原稿に使うところにポイントをつけて、後でそこだけを聞き直せばいいから)なので、MDレコーダーが一台あれば、すべて間に合っていたからだ。
でも、使い始めると、やっぱりi Podは実に便利だった。
デスクの上のMacに接続した途端に、i Tuneに入っている音源がすべて自動的に取り込まれた。これまでレギュラーで取材しているアーティストの音源は一気にすべて収められ、これからは取材に向かうまでに既発売の音源を聴き直すことができる。
今までのように、いちいちMDに録音しなくていいのも便利だ。
それになんといっても小さくて軽い。上京中の日課の多摩川ウォーキング中も手軽に持っていける。
さっそく今日は、i Podを聴きながらウォーキングを楽しんだ。

c0193396_18112937.jpg今日聴いたのは、山中さわおの『ディスチャージ』(6/23発売)。
the pillowsのフロントマンが満を持して発表する初のソロアルバムだ。
全編英語詞で、サウンドは実にポップ。

初っぱの「Music Creature」で、〈さよなら最初のギター グッバイ懐かしのロックスター(訳)〉と始まるから、ネジレてるのかと思いきや、〈俺はただ歌うだけの生き物〉と音楽家としての自己確認からアルバムは始まっている。

それは3曲目の「DAWN SPEECH」で、より明確に綴られる。すぐに口ずさめそうなメロディと、超ポップなサウンドで彩られたこの曲では、〈僕はあらためて音楽が好きだ これ以上にフィットするモノがあるだろうか? たぶんないとだろう 見つからないだろう〉とか〈あの初めての熱い衝撃 わかるだろう? もう眠れないんだ 限界までギターを弾くよ〉と歌う。
これは個人的にはアルバム中で一番好きな曲。途中のさわおのギターソロがなんとも言えずシブい!

ほかにも遊び心にあふれたアレンジの「Deep Story」とか、ギターのアルペジオで歌われる「Birthday」もイイ。ポップスって、ロックって、音楽ってこんなにも生活に密着していたんだと実感させてくれる珠玉のアルバムに仕上がっている。

最小人数のロックなアプローチで、ポップなバンドサウンドを追求し続けてきたpillowsの基本姿勢は残しながらも、他のアーティストとのセッションから生まれる化学反応を楽しんでいる感じ。元エレルガーデンの高橋宏貴やThe Birthdayのクハラ、チャットモンチーの福岡らが参加。

c0193396_1825259.jpgそして、ほかにウォーキング中聴いていたのは、Eric Kazのアルバム『1000年の悲しみ(1000 years of sorrow)』。今回の上京中に中野のレコードショップで偶然見つけて、即買いしたCDだ。

The Eaglesをはじめとする70年代アメリカ西海岸系、そしてOrleansなどのウッドストック〜ベアズヴィル(レーベル)系が好みの僕にとって、Eric Kazや後に彼が在籍したバンド「American Flyer」は、まさに僕の音楽のストライクゾーンのド真ん中に位置するアーティストだ。

彼がこれまで発表した2枚のソロアルバム『If you're lonly』('72年)『カル・デ・サック』('74年)、American Flyer時代の『アメリカン・フライヤー』『スピリット・オブ・ア・ウーマン』、そして元ピュア・プレリー・リーグで、American Flyerのメンバーでもあったクレイグ・フラーとのデュエットアルバム『クレイグ・フラー/エリック・カズ』も、すべて僕のCDラックに大切に収まっている。

c0193396_18541896.jpgその彼が、2002年の時点でソロ名義としては28年ぶりとなるアルバムがこの『1000年の悲しみ』だ。ほとんどがピアノ弾き語り中心。デモ音源のようなシンプルさだが、メロディも歌もしっかりEric Kazしていたのが、うれしかった。
28年ぶりだけど、その時間をまったく感じさせないレイドバックさ。元々、彼は昔からレイドバックした音だったけれど(笑)。変わらぬことが彼のアイデンティティなのだ。

American Flyerのアルバムにも入っている「Gambling Man」や「Such A Beautiful Feeling」も収録。特に「Such〜」はデモヴァージョンとベアズヴィルスタジオでの2ヴァージョンが収められている。それに3曲のライブ音源もある!

信じられない偶然の出逢いに、歩きながらニコニコ顔だった、かも(笑)。

(PS)それともう1枚、中野でザ・ビートモーターズの1stアルバム『気楽にやろうぜ』もゲットしたぜぃー!

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by mahalohilo | 2010-06-19 18:28 | music | Trackback | Comments(2)  

大波打ち寄せる嵐の海のようなザ・ビートモーターズのライブだった

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大波が次々と押し寄せてくる嵐の海を想った。
防波堤にぶつかった波は、持て余したエネルギーの塊を飛沫に変えて大空へと解き放つ。
腹に響く大波の破裂音。底知れぬエネルギー。それが絶え間なく襲いかかってくるあの嵐の海に、その時、僕は確かに居た。
下北沢シェルター。ギュウ詰め状態のライブハウスは大波がうねり寄せる瞬間を待っていた。
嵐の前の静けさ。囁き合う声が徐々に大きくなってくるのは、例えようのない興奮の前ぶれか。

ザ・ビートモーターズ。2ndアルバム『素晴らしいね』レコ発ツアーのファイナル。2010.6/11(金)。
最初に寄せてきた波は、「愛をさがして」だった。
次が、「アンドレア」。初っぱなから内包したエネルギーを惜しみなくぶちまける。
すでに2曲目で、Vo.秋葉の髪は吹き出した汗で顔にへばりつく。ディランのTシャツも汗で色が変わっている。まだまだ始まったばかり。客の反応はどうか。波が大きければ大きいほどワクワクするサーファーの心情と同じように、曲が続くにつれて振り上げるガッツな拳と笑顔の歓声に変わっていった。

時折ザ・バンドや、ビーチボーイズ『ペット・サウンズ』の横風も感じながらも、それすら全身で取り込みバンドの色にして放出する秋葉のキャラに惹かれる。そんな彼をがっつり支える木村(G)、ジョニー(B)、鹿野(Ds)の存在もデカイ。安定したビートの支えがあるからこそ、そこでどんなに弾けても揺るがない。それがいい意味でバンドの個性に繋がっていく。ビートモーターズの良さは、揺るぎないバンドサウンドと弾けるヴォーカルの個性にあると思う。

「素晴らしいね」は、ホントにスバラシかった。
スローでベヴィな音の中で「すばらしいね」と連呼する前半パート。中盤から構成が変わってテンポアップ。ゼップの「Whole Lotta Love」や「Dazed and Confused」の間奏部分のサイケなインプロビゼーションを想像させる展開、そして再びスローな「すばらしいね!」に戻っていく曲構成がイイ。
ギブソンSGのダブルネックを弾く木村は「Stairway to Heaven」を奏でるジミー・ペイジを彷彿とさせ、ハネながらもきっちりとビートをキープするジョニーのプレイはジョン.P.ジョーンズを想像させた。ちょっと褒めすぎ?(笑) いや、それぐらいこの曲は僕の中でスバラシかったのだ。

無防備になれる音楽だった。構えることも、気取る必要もない。ありのままの自分で、どしゃぶりの雨のような音楽に打たれ身を任せる感覚。体を刺す雨がやたらと気持ち良く感じる、あの感覚がビートモーターズの音楽にはある。

この夜、どしゃぶりの雨というよりは、防波堤にぶちあたり飛び散る飛沫のような音を浴びながら、あらためてココロもカラダも、全身が反応する気持ちイイ音楽に出逢えたことにガッツポーズしたい気持ちだ。

ザ・ビートモーターズ。次のライブはいつなのか、即効チェックしてみようと思っている。また、あの爆音に出逢うために。

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photo by O-NABE
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by mahalohilo | 2010-06-12 12:59 | music | Trackback | Comments(0)  

幼い頃から育んできた五感の記憶を刺激するsleepy.abの音世界

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ここ数日、梅雨の合間の晴れが続いていた沖縄の空のように、今日の東京は雲ひとつない青空が広がっている。今月もやってきました東京。正直、暑いです。風もないし。
上京中の恒例、多摩川ウォーキングしてきました。この暑さだと、きっと人はそれほど出ていない!?…と思ったら、けっこういました。ジョガーにサイクルツーリスト、ベンチで日光浴、おじさん野球、ラジコングライダーを操るこれまた年配の方々、みんな太陽の恵みを満喫している様子。

今日の音楽のおともは、「sleepy.ab(スリーピー)」。
北海道は札幌出身の4ピースバンドだ。
彼らを知ったのは、奄美の唄者「城 南海(きずきみなみ)」の1st.アルバムでカバーしていたsleepy.abの楽曲「四季ウタカタ」を聴いた時。なんて広がりのある大きなメロディなんだろう、と思った。ものすごく気になった。ほかの曲も聴いてみようと思った。
それが彼らのアルバム『paratroop』だった。

c0193396_12185557.jpg音が耳に届いた瞬間、眼の前に広い空間が広がった。一面に広がるなだらかな草原と、そこを切り裂くように真っ直ぐにのびる1本の道が胸の中に映し出された。
優しい風のような穏やかな独特の空気感と、ゆっくり流れる時間が心地よかった。

感じる風景は曲によって変わっていく。青空の草原もあれば、雪が降り積もった街並も、強い風をともなった大雪の夜の風景も見えてくる。
優しい音だけではなく、激しさに満ちた音もある。
しかし、どれもsleepy.abにしか表わせない独特の音世界なのである。

人は五感の記憶を育みながら生きているのだと思う。
なぜなら歳を重ねるほど、幼い頃から見てきた景色や匂いや音の記憶が懐かしさとともに蘇ってくる瞬間が多々あるからだ。sleepy.abの描きだす音の世界は、北海道の美しい風景と環境の中で育った彼らの五感の記憶から生まれていると僕は思うのだが、どうだろう。

c0193396_12192993.jpgsleepy.abの初のシングルが「君と背景」(6/23発売)。
この曲から見えてくるのは、木々の間から射しこむやわらかな木漏れ日の風景。
前に進めなくなった時は、木漏れ日の中で少し休んでいこう。やわらかい陽射しと葉音に包まれて、ウトウトしよう。がんばらなくてもいいじゃない。気分がよくなったら、強い光の中へ出ていけばいいのだから。

木漏れ日の中でのひと休み。汗もひいたし、僕もそろそろ光の中に出て行こう。



(PS)この「君と背景」の収められているライブ音源3曲が素晴らしい。初回限定盤は地元・札幌道新ホールでのライブを。また通常盤には東京キネマ倶楽部での別の3曲のライブ音源が収められている。通常盤には、僕が彼らを知った「四季ウタカタ」のオリジナルのライブ音源も収録。

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by mahalohilo | 2010-06-10 12:30 | music | Trackback | Comments(0)  

T-REXの恋 …… へと、タイムトリップ

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数日前、WOWOWでマイケル・クライトン特集をやっていた。
すっごく懐かしく観せてもらった。
なぜなら一時期、僕は彼の小説にハマり、全作品を読破したりもしていたからだ。

きっかけは20年近く前、あるアーティストの取材でLAに行った時のことだ。
レコーディングスタジオのアメリカ人スタッフが、ものすごく面白い本があるんだ、と言いながら、僕に見せてくれた1冊の分厚いペーパーバックが、マイケル・クライトンの『ジュラシック・パーク』だった。
それからしばらくして、彼のこの小説が映画化され大ヒット作となったことはご存知の通りだ。

c0193396_13251135.jpgWOWOWの特集でオンエアされた『ジュラシック・パーク』を久しぶりに観て、初めてペーパーバックで知った20年近く前に、僕はタイムトリップした気分になった。
観ている間中、ずっとドキドキワクワクしっぱなしだった。
どうして男の子(オジサンを含む・笑)は、恐竜とか宇宙とかロボットとか、が好きなんだろう。

『ジュラシック・パーク』を観ながら、僕は恐竜図鑑や科学図鑑の「宇宙篇」を手に入れて、毎日のように眺めては、太古の地を走るティラノサウルス・レックス(T-REX)や、近くで見たら土星のリングはどうなってるんだろう!?と考えていた少年時代にタイムトリップしていた。


タイムトリップ気分のついでに、時空を1997年10月へワープしてみよう。
そう、馬場俊英と毎月のように取材で会っていた、あの時代へ。
97年11月21日にリリースされた5th.シングル「ティラノサウルスの恋」のインタビュー・ルームへ……一緒にタイムトリップしてみませんか?

           *      *      *

 馬場俊英は、スポーツ的発想やスポーツマン的精神の持ち主なのだと思う。それは小さい頃から野球少年で、中学時代は野球部の3番でサードという花形選手だった当時から、ずっと彼の中に根付いていたものだったのかもしれない。ただし、がむしゃらに“根性!”と叫ぶようなスポ根的なものではなく、もっと健全に汗をかくことを楽しむ、爽やかなスポーツマン的なもの、といった意味で。

c0193396_16443147.jpg この夏にリリースされて以来、全国各地のFM局でパワープレイになるほどファンの支持が高い4枚目のシングル「センチメンタルシティマラソン」も、そんな彼のスポーツ的発想から生まれた曲だと言ってもいい。

 足を止めて寝転んでも誰も責めたりしないけど、バカらしいだろ? 最高につらい坂道を駆けのぼったら何が見えるだろう…きっとそこに、君はいる!

 たとえつらい日々を過ごしたとしても、想い続ければいつか君にわかってもらえる、と馬場はこの曲で、君への想いとマラソンをかけたダブルミーニングという手法で愛を表現する。まさに彼らしいスポーツ的発想の歌だ。

c0193396_13262086.jpg「この曲を作っている時は、ちょっとスポーツっぽい心境だったんですよ」と彼は言う。
「僕は周期的にそういう心境になる傾向があるみたいで。(笑)僕はスポーツ中継を観るのが好きで、なんでもよく観るんですね。特に陸上競技はスタートがあって、ゴールがあって、結果がでるというふうに、そのガンバリ方がわかりやすいですよね。エネルギーと情熱を注いで時間を過ごすというか。そういう生活をしたいと思ってた時期だったんですよ」

 そこからマラソンと恋愛がクロスしていく発想の過程が、またたまらなく彼らしい。
「走るというのは、目標に向かって突き進んでいく、気持ちが走るみたいなイメージが僕にはあって。夢が待っているというのではなく、こちらからその夢に向かって走っていくというイメージを歌った曲なんです。夢とか希望というとハッピーな感じがあるじゃないですか。でも夢を見てる時というのは、こんなふうになればいいなって現状に満足していなかったり、不安な時期だと思うです。夢と背中合わせにある悲しみや不安でいっぱいの中を目標に向かって走っていく、みたいなね。それが僕の中のマラソンのイメージに重なったんです」

c0193396_11413270.jpgこの「センチメンタルシティ マラソン」の“New Sneaker Mix”も収められた馬場の3曲入りマキシシングル「ティラノサウルスの恋/君は恋人で、恋人で友達で」がリリースされた。
「ティラノサウルス〜」は、先の「センチメンタル〜」同様、ステージで歌っている彼の姿が連想できる、実にライヴ感のあるロックチューンだ。音を繊細に積み上げ、詰め込んだデジタルサウンドが主流の今の音楽シーンにあって、彼のアナログ的なサウンドは、逆にとても音に血が通っていて新鮮に映る。

「今回は初めて僕が1枚まるごとアレンジをやったんですけど、やっぱりギタリストやベーシストがいてドラムの人がいて、で、僕が歌ってという、1人1人の存在が見えるような音にしたかったんです。これが僕のやり方なんですよね」

 それにしても、詞の中の彼の視線には独特のものがあると思う。この「ティラノサウルス〜」では、彼女への想いの強さを、たとえ恐竜みたいな化石になっても、土の中で君のことを愛してると呼び続けるだろう、と表現する。

「そういうのが好きなんですよ。裸の気持ちで愛するというか。だったら、それよりもっと強いのは何かというと骨になっちゃう。(笑)それぐらい強い愛という感じ。オシャレじゃない愛もいいなぁと思って。ドラマのような恋愛じゃなくて、ラヴレターを出すみたいな、もっと時代遅れな恋愛の歌にしたかったんです。でもティラノサウルスだと40臆年も時代遅れですね(笑)」

c0193396_13255568.jpg そしてもう1曲が「君は恋人で、恋人で友達で」。荷物をまとめて部屋が出ていく彼女の後ろ姿を見送りながら、彼女への優しさや配慮が足りなかったことを後悔する、とても切ないバラッドだ。

 デビュー曲の「星を待ってる」にしても、ファーストアルバムの中の「夢」や「「優しい雨のように」を覚えてますか?」にしても、彼の詞には胸を奥底がキュンとなるものが多い。きっと彼自身がとても繊細でセンチメンタルな人なのだと思う。そうでなければ、あれほど聴く者の感情を揺さぶる歌は作れないと思うのだけれど。

スポーツ的発想やスポーツマン的精神と同時に、センチメンタルな心も持ちあわせた馬場俊英は、同じ男から見ても、憎いほどカッコイイやつだ。
                     (取材・文/伊藤博伸 Gb 97年11月号)



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by mahalohilo | 2010-06-05 13:44 | 馬場俊英 | Trackback | Comments(8)